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メタノールとギ酸製造 家畜ふん尿から世界初 興部町と大阪

2020.08.31

北海道興部町と大阪大学先導的学際研究機構は15日、家畜ふん尿から発生するバイオガスを使い、メタノールとギ酸を製造することに世界で初めて成功したと発表した。今後、量産化などを進めていきたい考え。メタノールは現在、輸入に依存している。ギ酸はサイレージを生産する際に添加剤として使う。資源・エネルギーの地産地消や家畜ふん尿の有効活用につながると期待する。

同町のオホーツク農業科学研究センターで会見と公開実験をした。メタンと水、空気、二酸化塩素の他、電子機器の洗浄などに用いる溶媒からなる混合溶液に、発光ダイオード(LED)ライトを照射する。二酸化炭素(CO2)を発生させず、メタンガスからメタノールを14%、ギ酸を85%生み出せる。

同大学の大久保敬教授によると、バイオガスに6割ほど含まれるメタンから液体のメタノールを作るのは、燃焼反応が優先し水とCO2になってしまうため「世界的に最も難しい反応の一つ」という。

同町のバイオガスプラントでは全頭数の5%にあたる牛560頭分のふん尿を処理し、バイオガスを年間54万立方メートル、有機肥料となる消化液を1日40トン製造する。

5年以内の実用化を目指しており、メタノールを年間80トン、ギ酸は年間400トンの製造を見込む。ギ酸は同町での3、4年分の使用量に当たり「いずれ他産地への販売も視野に入れている」(同町産業振興課)とする。

大久保教授は「低コストで反応を起こすことができる。量産化に向け協力企業を募りたい」と話す。硲一寿町長は「酪農から再生エネルギーができ、派生して新しい産業が生まれる大きな希望も持っている」と今後の展望に期待を込めた。

掲載日:2020/ 07/ 16(木) 日本農業新聞 朝刊 総合営農