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評価が高まる道産酒米で作る日本酒でコロナ禍の状況打開を探る

2021.06.17

新型コロナウイルス禍で酒造好適米の苦境が続いている。日本酒の消費が減る中、JAグループ北海道では2021年産の数量ベースの作付け規模を20年産計画比で3割減らすことを決め、各産地で対応を進める。道産の需要はコロナ禍以前までは順調に増え、生産も拡大してきただけに、農家のショックは大きい。出口が見えない中で、ホクレンや道は状況を打開するため、家庭での消費拡大や新規需要の開拓を模索する。(吉田朋記)/ 「実需も苦しいんだ。減産は仕方がない」。酒造好適米の作付面積が道内最大の空知管内JAピンネ。酒米生産組合長を務める阪口徳幸さん(55)は苦渋の表情を浮かべた。21年産の作付面積は10・3ヘクタールを計画。20年産から4ヘクタール以上減らさざるを得なかった。

同生産組合は01年に設立。低タンパクや高整粒な高品質米を目指し、土壌分析に基づき施肥を設計。毎年、酒蔵と意見交換する機会も設け、求められる酒造好適米生産に取り組んできた。

コロナの感染拡大で、酒類を提供する飲食店への休業や、提供自粛を求める自治体が広がり、終息は見通せない。だが、阪口さんは「先人たちが築き上げてきたものを、ここで途絶えさせるわけにはいかない。我慢の時だ」と強調する。 北海道で酒造好適米の生産が始まったのは20年ほど前。道内外の酒蔵からの評価は年々高まり、ホクレンによると、20年産の需要量は2500トンで、15年産に比べて6割以上増えた。

この3年で3件の酒蔵が新設。全国で酒蔵が淘汰(とうた)される中で、新たな酒蔵の設立は、北海道だけの潮流だ。北海道酒造組合は理由の一つとして「道産の酒造好適米の品質が良くなっている」ことを挙げる。

こうした需要の高まりを受け、JAグループ北海道や道は生産拡大を推進してきた。同JAでは19年産から生産組合に4人の農家が加わり、「さあ、これからだというときだった」(米穀課)。コロナ禍で21年産は作付けを見送る農家もいるという。

[[家庭消費喚起]] 状況を打開しようと、道内関係者は需要の喚起に取り組む。ホクレンは、日本酒に合うおつまみのレシピを広報誌で紹介する他、人気テレビ番組「水曜どうでしょう」のディレクターのユーチューブチャンネルと連携したウェブ動画などでPRを展開。「日本酒に親しみをもってもらい、家庭での消費が増えるよう取り組みを続ける」(米穀部)とする。

道も情報誌を作り、レシピ紹介や、リンゴジュースや炭酸水などで割る「日本酒カクテル」を提案。「日本酒をあまり飲んだことのない消費者を開拓したい」(農産振興課)考えだ。今年度は、道産酒造好適米を使った日本酒や、道内の酒蔵で製造された日本酒を中心としたコンテストの開催も予定する。

2021/ 05/ 26(水) 日本農業新聞 朝刊 ワイド1北海道