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オンライン実施に活路を見出した食育体験

2021.08.02

6月は食育月間。新型コロナウイルスの影響で、対面で行う農業体験や料理教室などが軒並み中止となる中、オンラインに活路を見いだす“食育体験”が出てきた。畑と教室をつなぐライブ配信や、動画での料理教室など新たな形で食育活動を展開。都会の学校ともつながりやすいといったオンラインならではの魅力も挙がる。(宮浦晃希)

「児童館のみんな、聞こえますか。今からジャガイモの種芋を植えます」。5月中旬、JAさっぽろの軽部幹夫組合長が、学生や児童へ植え付けを画面越しに丁寧に説明した。

この食育体験はNPO法人の「Efy(えふぃ)」がJAの協力を得て実施。札幌市内の畑で、児童館の小学生15人に農作物の植え方をライブ配信した。

同法人の活動の中心は、同市の天使大学で栄養学を学ぶ学生だ。食を切り口に子どもが挑戦できる場をつくりたいと昨年、小学生向けのファームツアーを企画した。昨年はコロナ禍で実施できなかったが、今回はウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い開催した。

参加した小学生は画面越しで「種を入れる穴の深さ」などをリアルタイムで質問。リーダーで同大4年の服部環子さん(21)は「できる範囲での実施となるとオンラインを使った活動だった」と振り返る。軽部組合長は「食育体験も時代に合った対応が必要」と感想を話した。

コロナ下で自宅での食事が増える中、健康的な食生活に向けた、子ども向けの無料オンライン料理教室もある。札幌市内のシェフら有志でつくる「マイミール・クッキングプロジェクト」だ。JA新はこだても協力する。子どもでも簡単で安全に料理できるレシピを中心に配信し、6月1日時点で約70の動画を公開。昨年の3月から始め、動画の再生回数は全体で6万回に上る。

プロジェクトには昨年7月、北斗市野菜生産出荷組合がトマトを提供した。新たな食べ方として、スープにトマトのすりおろしを使う冷やし麺を提案するオンライン料理教室が、動画投稿サイト「ユーチューブ」上で閲覧可能だ。協力したJA大野基幹支店の田山光幸支店長は「コロナ禍で家庭で料理する機会が増える中、新たな食べ方を楽しむことで、食への知識も深めてほしい」と話す。

道内で食育のオンライン化を先駆けて行う帯広市の「いただきますカンパニー」の白木由美取締役は、道内で広がりつつあるオンライン食育体験について、「食や農に対する気持ちを育む食育の目的さえぶれなければ、形は対面でもオンラインでも変わらない」と指摘する。同社では、コロナ禍をきっかけにウェブ会議システム「Zoom」を用いたファームツアーや小学校での校外学習などを手掛け、これまで延べ450人が参加した。

コロナ下が追い風になり、小学校の現場ではタブレット端末などの情報通信技術(ICT)の活用も進んでいるとして、白木取締役は「防疫上大勢で押し掛けるのが難しかった生産現場など、コアな空間をオンラインでは見せられる。現場をリアルに感じることができると好評」とオンラインを活用した食育の魅力を語る。

2021/ 06/ 05(土) 日本農業新聞 朝刊 ワイド1北海道