02「土づくり」と
「種子と苗の選び方」と
「畑の準備」
野菜にとって生育しやすい畑とは?
野菜は地中に音を伸ばし、自分の体を支え、養分や水、酸素を吸収して生育します。そのため、畑には堆肥の施用、PH改善、排水改良等により以下の4つの条件が整うことが大切です。
- ①根が抵抗なく伸びる土のかたさであること。(抵抗なく指がささるかたさ)
- ②石ころやれきが少なく、50cmほどほっても水が湧いてこないこと。
- ③土の中に多くの空気と水が含まれていること。
- ④野菜を浸す病原菌やセンチュウ、害虫が少ないこと。
つまり、「水はけがよくて保水性も高く、深くまでやわらかくて、病害虫のいない畑」が野菜にとって生育しやすくよい畑の条件ということになります。
根が伸びない土の状態
石ころやれき、分解していないバーク堆肥などが原因で、ダイコンやニンジンなどの根菜類がまっすぐに伸びることができない
石灰を施し、土の酸度(pH)を
調整しましょう。
野菜 | 土壌pH | 野菜 | 土壌pH | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5.0 | 5.5 | 6.0 | 6.5 | 7.0 | 7.5 | 5.0 | 5.5 | 6.0 | 6.5 | 7.0 | 7.5 | ||||
ダイコン | タマネギ | ||||||||||||||
ニンジン | キャベツ | ||||||||||||||
ジャガイモ | ホウレンソウ | ||||||||||||||
トマト | レタス | ||||||||||||||
ナス | アスパラガス | ||||||||||||||
キュウリ | インゲン | ||||||||||||||
スイカ | サヤエンドウ | ||||||||||||||
メロン | サツマイモ | ||||||||||||||
カボチャ | トウモロコシ |
野菜一部を除いては一般的にpHが6.0~6.5位の微酸性に保つことが必要です。
酸度を調べるには、園芸店で酸度測定液などを買い簡易的にpHを調べる方法があります。その結果によって石灰の量を決めますが、わからない場合は苦土石灰または有機石灰を1m2あたり100~200g程度散布しましょう。
- 普通の畑(pH6位)では毎年1m2あたり100g程度散布することによって、土壌中の減少分を補うことができると思います。
- 特にほうれんそう、いんげん、たまねぎ、ねぎなどは酸性に弱い野菜です。また、トマト・ピーマン・キャベツ・白菜などは石灰欠乏症がでる場合があるので注意しましょう。
- 石灰は、耕起後早めに散布し、15〜20cm深までの土に混ぜましょう。肥料と一緒に施すことはなるべく避けましょう。
肥料について
作物が育つには、「水」と「光」と「温度」と「空気」と「養分」が必要です。
必要な養分はチッソ、リン酸、カリ(肥料の3要素という)が必要ですが、このほかにも、カルシウム、マグネシウムなどがあります。
養分 | 役割 |
---|---|
チッソ(N) | 葉肥(はごえ)とも言われ、葉を大きくし、緑を濃くします。特にキャベツ、ホウレンソウなどの葉物に大切です。 |
リン酸(P) | 実肥(みごえ)とも言われ、花や果実のつきを良くし、野菜を丈夫にします。 |
カリ(K) | 茎や葉を丈夫にし、病気や害虫に対する抵抗力を高め、根の発育を良くします。 |
カルシウム(Ca) | 野菜を丈夫に育てるのに必要です。不足するとトマトの尻腐れがあらわれます。酸性を中和する働きがあります。 |
マグネシウム(Mg) | 葉緑素を作るのに必要で、不足すると葉が落ちます。 |
肥料には
「有機質肥料」(堆肥、油カス、家畜の糞、米ぬか、魚粉など、ゆっくり効く遅効性肥料)と「化学肥料」(一般的に効き目が早い速効性肥料と徐々に効いていく緩効性肥料)がありますので確かめてから求めましょう。
また、三要素(N・P・K)がバランスよく含む肥料と単独の成分の肥料があります。
市販の肥料には三要素の配合比が記載されています(例,N8:P:8:K8・N10:P:10:K10など)ので、栽培する野菜に適したものを選び、袋の裏に施肥量が記載されていますので参考にしましょう。
一般的には野菜類に共通に使える成分の肥料が便利です。
※施肥料の計算式
野菜(○○○)の1㎡に必要な成分量(g)÷肥料の成分(%)/100=1㎡に必要な肥料の量
例 N8:P:8:K8の肥料でN10g/㎡施用する場合は10÷8/100=125g/㎡となります。
種の選び方
袋詰めの種を買うのが一般的ですが、次のことに注意しましょう。
袋の裏側に種子証票が必ず記載されていますので確認してください。
特に発芽率が高いことが重要です。
また発芽検定年月と有効期限に注意しましょう。
生産地 | 北海道 |
---|---|
数量 | 8ml |
発芽検定月 | 2020年10月 86%以上 |
有効期限 | 発芽検定より1ヶ月 |
薬剤処理 | 無処理 |
販売者 | △△タネ会社 |
タネの寿命と保管方法
購入したタネが使い切れずに残ることがあります。市販のタネはどのくらいの寿命があり、栽培に使えるのでしょうか。
タネの寿命は貯蔵条件で異なります。低温かつ乾燥状態で保管することが大切です。
フタつきの空き缶に乾燥剤を入れて冷蔵庫課低温の場所で保管すると、数年使用できるタネもあります。下表を目安にしましょう。
たねの寿命
タネの寿命 | 使用期間 | 主な野菜 |
---|---|---|
短い | 毎年更新 | ネギ・タマネギ・ニラ・ミツバ・インゲン・ゴボウ・ニンジン・ラッカセイ |
やや長い | 2年目使用可 | ダイコン・カブ・ハクサイ・キャベツ・レタス・ピーマン・エンドウ・エダマメ・ホウレンソウウ・スイカ |
長い | 数年使用可 | トマト・キュウリ・ナス・カボチャ・オクラ・シュンギク |
保管方法
苗の選び方
北海道では一般的に5月下旬から6月上旬頃が植付けの時期ですが、5月上〜中旬は遅霜や低温で被害が出ることが多いので注意しましょう。
※良い苗を選ぶには次の点に注意してください。
ナス、キュウリ、スイカなどの苗(特にナス)は、少し高価ですが、病気に強い接ぎ木苗を求めるとよいでしょう
(接ぎ木苗は土壌病気に強い台木に同じ属の植物の枝を接ぐ方法)。
- 茎が太く、しっかりし全体ががっちりしていること。(軟弱に成長していないこと)
- 節間がつまっているもの。
- 根の張りが良いもので、鉢ができるだけ大きいもの。
- 病害虫に侵されていないもの。(特に葉の裏側のアブラ虫に注意)
- 古い苗(老化苗)でないもの。特に下の葉が黄色くなっているものは避けましょう。
- 葉が元気で等間隔についており、子葉がついているもの
- 茎や葉がしおれていないもの。
よい苗を選ぶコツ(トマトの例)
- トマトの草丈:30~35cm位のもの 大きめの鉢
- 1~2個の花が開花している。
- 葉がしおれていないこと。病害虫がついていないこと。緑色が濃いもの。
- 節間がつまっており、葉が等間隔についているもの。
- 健全な双葉(1番下の小さな葉)がついていること。
- 茎が太くて(えんぴつ大の太さ)丈夫そうに見えること。
- 根がしっかりとして白い根が見えること。
種類 | 適当な苗の大きさ | 種類 | 適当な苗の大きさ | ||
---|---|---|---|---|---|
果菜類 | トマト | 8〜9枚(第1花房開花始め) | 葉茎菜類 | キャベツ | 3〜5枚(春先は大苗で) |
ナス | 7〜8枚(接ぎ木) | ハクサイ | 3〜7枚(春先は大苗で) | ||
ピーマン | 8〜9枚(第1花開花前) | ブロッコリー | 3〜5枚(春先は大苗で) | ||
キュウリ | 3〜4枚(接ぎ木) | 長ネギ | 3〜4枚(草丈25cm) | ||
メロン | 3〜4枚 | レタス | 3〜5枚(春先は大苗で) | ||
スイカ | 4〜5枚(接ぎ木) | パセリ | 8〜9枚 | ||
カボチャ | 2〜4枚(トンネル4枚) | セロリ | 6〜10枚(春先は大苗で) | ||
イチゴ | 4〜6枚(8月中〜下旬まで) | アスパラガス | 貯蔵根数は10〜20本 |
苗の植付け、種まき前の畑の準備の基本
-
畑を起こす
スコップ等で25〜30cm深程度起こします。 -
砕土する
ホー鎌などで土の塊を砕きます。 -
石灰の散布(㎡当たり100〜200g位)
ホー鎌などで15〜20cmの深さに土と混ぜる。 -
肥料をまく
石灰散布後約一週間位経ってから植える全体に肥料を散布し、ホー鎌などで15~20cmの深さに土とよく混ぜる。 - 種まき、苗の植付け
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